【ふるさと学芸館】「今月の一品」(令和4年1月)について
令和4年1月の「今月の一品」は・・・
今月の一品は・・・
「香時計(こうどけい)」
です!
現在のように、時計の針や数字で時間がわかるようになるまでは、太陽や月、星座などの天体観測を通して、時間や日付、季節を確認していました。
その間、人々は日時計や砂時計、日本で最古といわれる水時計「漏刻(ろうこく)」など、自然物を使って工夫を凝らしつつ、様々な時計を作ってきました。また、城や寺でつく鐘の音で、時刻を知らせていた時代もありました。
この「香時計」も時を知る工夫の一つです。
香が定速で燃える性質を利用した時計で、香炉の灰の上に、細かい粉末の抹香をかぎ型に敷き詰め、香が燃焼する長さで時刻を計ります。
灰の上に敷き詰めた抹香の先端に点火すると、1時間に約6センチメートルの速さで燃えるそうです。
香時計は、古くは6世紀ごろの中国で使われており、伝来した当時のものが奈良県の正倉院に残っています。古代インド文字が刻まれているため、インドから中国に渡り、日本まで伝わったと言われています。
何時何分何秒といった詳細な時刻を知る必要がなく、ふと目を向けたとき、ゆるやかに流れた時の経過を知る。それでことが足りる生活というのは、現代の私たちにとって、とてもぜいたくに思えます。
本年も、ふるさと学芸館をよろしくお願い申し上げます。